Fast R-CNNは、従来の物体検出モデルが抱えていた処理速度の遅さを改善するために開発されたディープラーニング手法です。画像全体に対して畳み込みニューラルネットワークを一度だけ適用し、高速かつ高精度な物体検出を実現しました。
Fast R-CNNとは
Fast R-CNNとは、画像内にある複数の物体の位置とクラスを高速かつ高精度に特定するための物体検出アルゴリズムです。
詳しく解説
前身であるR-CNNは、画像から候補領域を切り出し、それぞれの領域に対して個別に畳み込みニューラルネットワークを実行していたため、計算コストが膨大で処理に時間がかかるという問題がありました。Fast R-CNNでは、入力画像全体を畳み込みニューラルネットワークに通して特徴マップを一度だけ作成し、その特徴マップ上で各領域の切り出しを行います。これにより重複する計算を効率化し、さらに領域抽出、分類、位置補正の各タスクを一つのネットワーク内で同時に学習させるマルチタスク損失関数を採用することで、精度と速度の大幅な向上を実現しました。
具体例・使われ方
自動運転システムにおける歩行者や障害物のリアルタイム検出、監視カメラ映像からの不審な人物や車両の特定、小売店における商品の自動棚卸しなど、高い処理速度と精度が求められる画像認識の現場で応用されてきました。
似た用語との違い
前身であるR-CNNと比較して、すべての候補領域に対して個別に特徴抽出を行わないため劇的に高速化されています。また、後継モデルであるFaster R-CNNでは、Fast R-CNNのボトルネックとなっていた外部の領域提案アルゴリズム(Selective Searchなど)をネットワーク内部に組み込んだ「領域提案ネットワーク(RPN)」に置き換えることで、さらなる高速化を達成しています。
注意点
Fast R-CNN単体では、領域提案の生成に従来のアルゴリズムを使用しているため、完全なエンドツーエンドの学習やリアルタイム処理の観点では後継のFaster R-CNN等に比べるとまだ限界があります。そのため、現在の実務や研究ではさらに発展したモデルが選択されることが多くなっています。