階層的クラスタリングは、データ間の類似度を基に階層的な木の構造を作ってグループ分けを行う教師なし学習のアルゴリズムです。事前のクラスター数を指定する必要がなく、データの全体像を樹形図で可視化できるという特徴を持ちます。
階層的クラスタリングとは
一言でいうと、データ同士の距離を測りながら、近いもの同士を段階的にまとめていくことで、まるで家族の系図のようなツリー構造のグループを作り上げるデータ分析の手法です。
詳しく解説
階層的クラスタリングには、個々のデータからスタートして近くのものを結合していく凝集型と、すべてのデータが含まれる大きなグループから分割していく分裂型があります。一般的には凝集型がよく使われます。データを結合する基準には最短距離法や最長距離法、ウォード法などがあり、これらを変更することでグループの結合具合を調整可能です。最終的な結果はデンドログラムと呼ばれる樹形図として視覚化され、アナリストが適切な階層でカットすることで具体的なグループ数やデータ構造を直感的に把握できるようになります。事前のクラスター数を決め打ちする必要がないため、未知のデータを探索的に分析する際によく利用されます。
具体例・使われ方
具体的な利用例として、顧客の購買履歴データを用いたセグメンテーションが挙げられます。年齢や購入頻度、単価などの特徴から顧客間の類似度を計算し、似た傾向を持つ顧客同士を段階的にグループ化します。これにより、大まかな顧客層から細かな趣味嗜好の違いまでを階層的に把握することが可能です。また、生物学における遺伝子発現データの解析や、文書の自動分類といったテキストマイニングの分野でも広く活用されています。
似た用語との違い
非階層的クラスタリングの代表例であるk-means法と比較されることがよくあります。k-means法は事前にクラスターの数を指定する必要があり、大規模なデータに対して高速に処理できる一方で、初期値によって結果が変わりやすいという特徴があります。これに対し、階層的クラスタリングは事前のクラスター数が不要で樹形図による解釈性に優れますが、データ量が増えると計算量が急激に増大するという違いがあります。
注意点
データ数が多くなると計算量やメモリ消費量が膨大になるため、数万件以上の大規模データに対して直接適用するのは困難です。また、外れ値やノイズの影響を強く受けやすいため、前処理として外れ値の除外やデータの正規化を行うことが重要です。さらに、樹形図のどこでカットしてグループを確定させるかは最終的に人間の判断に委ねられるため、分析の目的に応じた適切な基準の設定が求められます。