データ分析数学機械学習

固有値

こゆうち · Eigenvalue
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固有値とは、線形代数における基本概念の一つで、ある正方行列をベクトルに掛け合わせた際に、そのベクトルの方向を変えずに引き伸ばしたり縮めたりする倍率のことです。機械学習では、主成分分析(PCA)においてデータの特徴的な方向(主成分)が持つ情報量や分散の大きさを定量的に評価するための最重要指標として広く応用されています。

固有値とは

固有値とは、行列によって表される線形変換を行った際に、その変換の前後で方向が変わらない特別なベクトル(固有ベクトル)が、何倍に拡大または縮小されるかを示す倍率(スカラー値)のことです。

詳しく解説

線形変換(行列の掛け算)を行うと、一般にベクトルは向きも長さも変化します。しかし、特定のベクトル(固有ベクトル)に対して行列を掛けた場合、その方向は変わらず、元のベクトルを単に定数倍(固有値倍)したベクトルになります。数式では Av = λv (Aは正方行列、vは固有ベクトル、λが固有値)と定義されます。機械学習においては、この性質が次元削減やデータの分散構造の抽出に利用されます。例えば、分散共分散行列の固有値を計算することで、どの方向にデータのばらつき(情報量)が最も大きいかを効率的に特定することができます。

具体例・使われ方

具体的な利用例として、次元削減アルゴリズムである主成分分析(PCA)が挙げられます。データ全体のばらつきを示す分散共分散行列の固有値を求めると、最大値を持つ固有値に対応する固有ベクトルが、データを最もよく説明する「第1主成分」の方向になります。また、グラフ理論に基づいたデータ分割手法であるスペクトラルクラスタリングや、Googleの検索エンジンを支えるPageRankアルゴリズムなど、多変量解析の様々な場面で応用されています。

似た用語との違い

混同されやすい概念に固有ベクトルがあります。固有ベクトルは方向が変わらない「ベクトル(向きを持った矢印)」そのものを指すのに対し、固有値はそのベクトルが何倍に引き伸ばされるかという「スカラー(倍率)」を指します。両者は常にペアとして計算されます。また、正方行列に限定されない概念として特異値があり、これは固有値の概念を長方行列へと一般化したものに相当します。

注意点

固有値はあらゆる行列に存在するわけではなく、原則として行と列の数が同じ正方行列に対して定義されます。また、行列の成分がすべて実数であっても、計算された固有値が虚数(複素数)になる場合があり、その場合は回転を伴う変化を意味するため、単純な「引き伸ばしの倍率」としては直感的に理解しにくくなる点に注意が必要です。

更新日時: 2026年9月1日 09:11