マルチオブジェクトトラッキング(MOT)とは、動画などの連続フレーム内で複数の対象物を同時に検出・追跡するコンピュータビジョン技術です。各物体に固有の識別番号を割り当て、遮蔽や交差が発生しても同一性を維持し続けます。自動運転の障害物検知や防犯カメラの人物追跡など、リアルタイムな状況把握に不可欠な役割を果たします。
マルチオブジェクトトラッキングとは
マルチオブジェクトトラッキングとは、動画映像の中で移動する複数の対象(人物や車両など)を同時に検出し、それぞれの位置の変化や移動軌跡を継続的に追跡する技術です。
詳しく解説
マルチオブジェクトトラッキングは、動画像処理やコンピュータビジョンにおける重要課題の一つです。基本的な処理フローでは、まず各フレームで物体検出を実行して対象の位置情報を取得し、次に前後のフレーム間でどの検出結果が同一物体であるかを判定するデータ関連付けを行います。近年はディープラーニングを活用して物体の外観特徴量を抽出し、カルマンフィルタ等による位置の運動予測と組み合わせる手法が主流です。これにより、カメラの揺れや複数物体の交差があっても高精度な追跡が可能になります。
具体例・使われ方
防犯・監視カメラによる混雑した駅や商業施設での人の流動解析、自動運転自動車における周辺車両や歩行者の動線予測、スポーツアナリティクスにおける全選手の走行軌跡や位置関係の可視化などで活用されています。
似た用語との違い
単一の対象のみを追い続ける単一オブジェクトトラッキング(SOT)と異なり、画面内に現れる不特定の複数対象を同時に識別・追跡します。また、単一フレーム画像内で物体の位置と種類のみを特定する物体検出とは異なり、時間軸に沿って個体の同一性を維持し続ける点が異なります。
注意点
物体同士が複雑に交差したり障害物に隠れたりするオクルージョン(遮蔽)が発生すると、追跡中の物体IDが入れ替わってしまうIDスウィッチというエラーが発生しやすくなります。また、高精度な追跡処理と複数対象の同時計算をリアルタイムで実行するには高い処理能力が要求されます。