多変量正規分布は、複数の確率変数が同時に従う正規分布の拡張です。それぞれの変数が正規分布に従うだけでなく、変数間の相関関係も考慮してデータをモデル化できるため、機械学習やパターン認識において広く活用されています。
多変量正規分布とは
一言でいうと、1次元の正規分布を複数次元へと拡張し、変数同士の相関関係まで含めてデータの広がりを確率的に表現する確率分布のことです。
詳しく解説
多変量正規分布は、平均値を示す平均ベクトルと、変数間の広がりや向きを示す共分散行列によって完全に定義されます。1次元の正規分布がグラフ上で鐘形の曲線を描くのに対し、多変量正規分布は2次元であれば鐘形の曲面、高次元であれば超空間上の確率密度関数として表されます。機械学習の分野では、データの生成モデルや異常検知、クラスタリングなどにおいて、データのばらつきを捉えるための基礎的な確率モデルとして重要な役割を担っています。
具体例・使われ方
例えば、成人の「身長」と「体重」という2つの変数を同時に扱う場合、それぞれの単体の分布だけでなく、身長が高い人は体重も重い傾向にあるといった相関関係を含めてデータをモデル化する際に使用されます。また、ガウス混合モデルを用いて複雑なデータ分布を近似する際や、主成分分析の背後にある確率的解釈としても利用されます。
似た用語との違い
通常の1次元の正規分布が単一の変数のみを対象とするのに対し、多変量正規分布は複数の変数を同時に扱い、共分散行列によって変数間の相関関係を表現できる点が異なります。また、単純な独立な正規分布の組み合わせとは異なり、変数間の斜めの広がりや共分散を直接モデル化できる特徴があります。
注意点
データが真に正規分布に従っているという強い仮定を置くため、実際のデータが大きく歪んでいる場合や外れ値が多く含まれる場合にはモデルの精度が低下する点に注意が必要です。また、次元数が非常に大きくなると共分散行列の推定に必要なパラメータ数が急激に増加し、計算上の困難や過学習が生じるリスクがあります。