NISQデバイスとは、量子エラー訂正を持たない数十から数千量子ビット程度の小〜中規模な過渡期の量子コンピュータです。ノイズの影響を受けるため万能ではありませんが、量子機械学習や最適化問題などで古典コンピュータと協調して実用的な計算を行う研究が進められています。
NISQデバイスとは
NISQデバイスとは、ノイズ(量子エラー)を含み、量子ビット数が数十から数千程度の小〜中規模な現行の量子コンピュータのことです。
詳しく解説
NISQデバイス(Noisy Intermediate-Scale Quantum)は、量子エラー訂正機能を持たないため外部環境からの影響(ノイズ)を受けやすく、長時間の計算を実行できません。しかし、従来のスーパーコンピュータを超える処理能力(量子超越性)の実証や、特定分野での実用化に向けた研究の足がかりとして極めて重要な位置付けにあります。AI分野においては、機械学習モデルの最適化や量子機械学習のアルゴリズムを実験するための基盤として活用されています。
具体例・使われ方
具体的な応用としては、創薬における分子構造のシミュレーション、金融におけるポートフォリオの最適化問題、機械学習アルゴリズムの高速化実験などが挙げられます。変分量子固有値ソルバー(VQE)などの量子古典ハイブリッドアルゴリズムを用いて、古典コンピュータと連携しながらNISQデバイス上で計算を行う手法が研究されています。
似た用語との違い
完全な量子エラー訂正機能を備えたFTQC(耐量子誤り計算)との違いが明確です。FTQCは何百万もの量子ビットを使い正確な大規模計算を行える将来的な理想像であるのに対し、NISQデバイスはエラー訂正がなく規模も限定的な過渡期の量子コンピュータを指します。
注意点
NISQデバイスは万能な計算機ではなく、ノイズの影響で長時間の複雑なアルゴリズムを実行すると計算誤差が大きくなります。そのため、現段階ではあらゆるAI処理を即座に高速化できるわけではなく、従来の古典コンピュータとの協調計算が前提となる点に注意が必要です。