仮名加工情報とは、他の情報と照合しない限り特定の個人を識別できないように加工された個人情報です。個人情報保護法で新設され、プライバシー保護に配慮しながらAI開発やデータ分析における安全なデータ利活用を促進する仕組みとして注目されています。
仮名加工情報とは
仮名加工情報とは、氏名などの識別情報を削除・置換し、単体では特定の個人を特定できない状態に加工したデータ区分を一言で表したものです。
詳しく解説
2020年の個人情報保護法改正によって創設された区分です。従来の個人情報では利用目的の変更や高度な分析に本人の同意が必要となるケースが多く、ビッグデータ利活用の妨げとなっていました。そこで、氏名や電話番号などの直接識別子を削除または仮名化することで、事業者内部での自由なデータ分析や機械学習モデルの訓練を可能にしました。これにより、プライバシー保護の安全性を高めつつ、AI開発に必要な大量の学習データを柔軟に取り扱う基盤として重要な役割を果たしています。
具体例・使われ方
例えば、医療機関や製薬会社において、患者の氏名や住所をランダムなIDに置き換えた上で、検査数値や投薬履歴を用いて疾患予測を行う機械学習モデルを学習させるケースがあります。また、ECサイト事業者が購買履歴から特定の個人名を伏せた状態で推薦アルゴリズムの精度向上に役立てる事例などがあります。
似た用語との違い
類似する概念に匿名加工情報があります。匿名加工情報は、他の情報と照合しても完全に個人を復元・特定できないレベルまで加工された情報であり、第三者への自由な提供が認められています。一方、仮名加工情報は社内にある対応表などと照合すれば元の個人を復元できる余地が残されているため、原則として第三者提供が禁止されており、事業者内部での分析・AI開発用途に限定される点が大きく異なります。
注意点
仮名加工情報は加工済みであっても法律上の義務が免除されるわけではなく、削除した識別子や対応表などの安全管理措置を厳格に行う必要があります。また、特定個人の識別の禁止や第三者提供の制限など、通常の個人情報とは異なる厳格なルールが存在するため、AI開発の共同プロジェクトなどで外部組織にそのままデータを共有することはできない点に注意が必要です。