数値計算機械学習線形代数

コレスキー分解

これすきーぶんかい · Cholesky decomposition
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コレスキー分解は、対称正定値行列を下三角行列とその転置行列の積に分解する手法です。行列式や逆行列の計算、連立一次方程式の解法を高速化するために用いられ、機械学習においてはガウス過程回帰やカルマンフィルタ、多変量正規分布からのサンプリングなどで重要な役割を果たします。

コレスキー分解とは

コレスキー分解とは、ある対称かつ正定値である行列を、下三角行列(対角成分より上がすべてゼロの行列)とその転置行列の積という、よりシンプルな形に分解する線形代数の手法です。

詳しく解説

行列の分解手法の一種であり、一般にLU分解の特殊なケースと位置づけられます。元の行列が対称かつ正定値行列という条件を満たす場合、LU分解よりも計算量を約半分に削減して分解を完了できます。計算の数値的安定性が非常に高く、連立一次方程式を解く際に、まず下三角行列とその転置に分解し、前進消去と後退代入を用いて効率的に解を求めることができます。

具体例・使われ方

機械学習の分野では、ガウス過程回帰において共分散行列の逆行列計算や行列式の評価に広く使われています。また、多変量正規分布に従うランダムなサンプルを生成する際、独立な標準正規分布の乱数ベクトルに、共分散行列のコレスキー因子(下三角行列)を乗算することで、目的の相関を持つサンプルを効率的に生成するケースが挙げられます。

似た用語との違い

一般的な行列分解手法であるLU分解は、正方行列であれば広く適用可能ですが、コレスキー分解は対象が対称正定値行列に限定されます。しかし、条件を満たす場合はコレスキー分解の方が約2倍高速です。また、QR分解は任意の行列を直交行列と上三角行列に分解する手法であり、最小二乗法などに使われますが、コレスキー分解よりも計算コストが高くなります。さらに、特異値分解は任意の行列に適用可能で、次元削減などに用いられますが、計算の複雑さはコレスキー分解よりはるかに大きいです。

注意点

コレスキー分解を適用する前提条件として、対象の行列が厳密に正定値である必要があります。数値計算の誤差などにより、行列が理論上は正定値であっても、コンピュータ上では半正定値行列や非正定値と判定されてしまい、アルゴリズムが途中で破綻することがあります。このため、実務上は対角成分に微小な値を加えるジッターと呼ばれるテクニックや、半正定値行列にも対応した修正コレスキー分解が用いられることがあります。

更新日時: 2026年9月6日 16:41