ハイブリッドクラウドとは、自社で所有・管理するオンプレミス(プライベートクラウド含む)と、外部事業者が提供するパブリッククラウドを組み合わせて一体的に運用するシステム環境です。機密データのローカル保存による安全性と、クラウドの柔軟な拡張性・コスト効率を両立できるため、現代の企業インフラとして広く採用されています。
ハイブリッドクラウドとは
ハイブリッドクラウドとは、自社専用の「プライベートクラウド(またはオンプレミス)」と、不特定多数に提供される「パブリッククラウド」という異なる性質を持つインフラ環境を連携させ、一つの統合されたシステムとして構築・運用するITインフラ手法のことです。
詳しく解説
ハイブリッドクラウドの背景には、データのセキュリティと業務の効率化を両立させたいという企業のニーズがあります。例えば、顧客情報や機密性の高い知的財産などの「コアデータ」はセキュリティ管理の厳しいオンプレミス環境で安全に保管し、アクセス負荷の変動が激しいWebアプリケーションや一時的なリソースが必要な「データ分析」や「機械学習」のモデルトレーニングなどは、スケーラビリティに優れたパブリッククラウドに分散して実行します。これら双方の環境を専用線やVPNでセキュアに接続し、データやアプリケーションを柔軟に移行・連携させることで、変化に強い最適なITインフラを実現します。
具体例・使われ方
金融機関において、機密性の高い預金者データを保護するためにローカルのプライベートクラウドでデータベースを運用しつつ、モバイルアプリのフロントエンドサービスや、ビッグデータ解析による不正検知といった負荷の大きい計算処理にはパブリッククラウドを利用するケースが挙げられます。また、災害時のバックアップ(ディザスタリカバリ)として、通常業務はオンプレミスで行い、データの複製先や非常時の代替システムとしてパブリッククラウドを連携させる構成も代表的です。
似た用語との違い
「マルチクラウド」との違いがよく挙げられます。ハイブリッドクラウドは「プライベートクラウド(あるいはオンプレミス)」と「パブリッククラウド」という性質の異なるインフラを相互接続して一体運用するのに対し、マルチクラウドは複数の異なるパブリッククラウド事業者のサービスを併用する形態を指します。また、自社専用環境のみを使用する「プライベートクラウド」や、共同利用型のみを使用する「パブリッククラウド」の単体運用とも区別されます。
注意点
導入にあたっては、異なるインフラ環境を接続するため、ネットワーク設計やセキュリティポリシーの一貫性を保つ難易度が高くなります。また、オンプレミスとクラウドの双方に精通したエンジニアが必要となり、運用の複雑化に伴う管理コストの増大や、データ転送にかかるネットワークの帯域確保、パブリッククラウドからデータを取り出す際の手数料など、予期せぬコスト負担が発生する点に注意が必要です。